12/19FED発表によるドル円の2つのシナリオ

12/19FED発表によるドル円の2つのシナリオ

米国の中央銀行であるFRB(連邦準備制度理事会)は、明日、12月19日の早朝に政策金利の発表を行います。この発表は世界の金融市場、特に為替市場に大きな影響を与えるため、投資家やトレーダーの間で注目されています。特にドル円相場は、FRBの決定内容や発表後のパウエル議長の発言次第で、大きく上下に動く可能性があります。この記事では、現在の経済状況やこれまでの要人発言を振り返りながら、明日の発表後に想定される2つのシナリオを解説し、今後のドル円の動きを考察します。


1. 現在の状況:米国経済の安定と市場の期待

米国の経済は、ここ数か月で安定した動きを見せています。

まず雇用市場を示す「非農業部門雇用者数(NFP)」は、15万人から20万人ほどの増加が続いており、労働市場は引き続き強い状態です。また、経済の成長率を示す「GDP」(国内総生産)は第3四半期に年率+2.1%と予想を上回る成長を維持しています。

さらに、FRBが注目している物価の動き、つまりインフレ指標も落ち着きを見せています。具体的には、「消費者物価指数(CPI)」や「個人消費支出価格指数(PCE)」は、FRBが目標とする2%付近で推移しており、過度なインフレ懸念は後退しつつあります。こうした状況から、FRBが「利下げを急ぐ必要はない」と判断する可能性が高いと見られています。

しかし、FF金利先物市場では、利下げが一部織り込まれているという声も聞こえてきており、発表内容次第で市場は大きく動く可能性があります。


2. これまでの要人発言:FRBの慎重な姿勢

FRB関係者や委員の発言を振り返ると、全体として慎重な姿勢が目立ちます。パウエル議長は11月初旬に「経済が堅調である限り、金融政策を急いで変更する必要はない」と述べ、利下げを急ぐ意思がないことを示唆しました。また、12月初旬にも「インフレは落ち着いてきているが、さらなる確認が必要だ」と発言し、利下げの可能性を明確には示しませんでした。

一方、FRBのクリストファー・ウォラー理事は「データ次第では利下げを検討する余地がある」と述べており、完全に利下げを否定する発言は避けています。さらに、ニューヨーク連銀のジョン・ウィリアムズ総裁も「今後の経済指標を見極める必要がある」と発言しており、データ次第で柔軟に判断する姿勢が強調されています。

これらの発言から、FRBは現時点では「利下げの必要はない」と考えているものの、将来的な経済の減速に備えて柔軟な姿勢を維持していることがわかります。こうした微妙なスタンスが、明日の発表にどのように反映されるかがポイントです。


3. 2つのシナリオ

利下げ見送り

まず考えられるのが、FRBが利下げを見送るシナリオです。この場合、FRBは「現在の経済は堅調に推移しており、インフレも落ち着いているため、金利を急いで引き下げる必要はない」と判断するでしょう。特にパウエル議長が会見で経済の強さを強調し、「今後もデータを確認しながら慎重に判断する」と発言する可能性が高いです。

利下げが見送られた場合、米ドルは買われやすくなります。なぜなら、他国と比べて米ドルの金利が引き続き高いため、投資家にとって魅力的に映るからです。結果として、ドル円は上昇し、現在の高値である154.490円を再び試す展開になるでしょう。そして、この高値を超えれば、節目である155円台まで一気に上昇する可能性も考えられます。

しかし、もしFRBが「利下げの可能性も排除しない」といった柔軟な発言を行った場合、上昇は一時的なものに留まる可能性もあるため、注意が必要です。

利下げの示唆、もしくはサプライズ利下げ

次に考えられるのは、FRBが利下げを示唆する、あるいはサプライズで利下げを決定するシナリオです。この場合、FRBは「一部の経済データに弱さが見られる」と強調し、将来の景気減速に先手を打つ形で利下げの必要性を示唆するでしょう。

利下げが示唆された場合、米ドルは売られやすくなります。利下げは金利を引き下げることになるため、投資家にとって米ドルの魅力が薄れるからです。その結果、ドル円は下落し、現在のサポートラインである151.106円を割り込む可能性があります。さらに下落が進めば、心理的な節目である150円を試す展開になるかもしれません。

このシナリオは市場にとってサプライズとなるため、発表後の値動きが急激になることも考えられます。


5. 明日の注目点とトレードの心構え

明日の発表では、金利が据え置かれるか利下げが示唆されるかだけでなく、FRBの今後の方針が特に注目されます。パウエル議長の発言やFRBの声明文に含まれる「経済の見通し」や「インフレに対する姿勢」に市場は敏感に反応するでしょう。

初心者の方は、発表直後の値動きに慌てることなく、151円台のサポートライン154円台の直近高値に注目し、これらの重要なポイントを基準に判断することを心がけましょう。市場の方向性が明確になるまでは、慎重にエントリーすることが大切です。


6. まとめ

柔軟な対応で発表後の動きを見極める

FRBの発表は、ドル円市場にとって大きな節目となる可能性があります。現在の経済状況を踏まえれば「利下げ見送り」が基本シナリオとなりますが、声明やパウエル議長の発言内容によっては、サプライズが起きる可能性も十分考えられます。

投資初心者の方は、明日の発表を一つの学びの機会と捉え、FRBの発表内容と市場の反応を丁寧に観察してみてください。発表後の動きを振り返ることで、今後のトレードに役立つ知識や経験を積むことができるはずです。

市場がどう動くかは誰にも予測できませんが、冷静な対応と柔軟な戦略が、トレード成功への鍵となるでしょう。

相場の女神が皆様に微笑みますように☆

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