スラスト徹底分析マニュアル

スラスト徹底分析マニュアル

スラスト(Thrust)とは?

エリオット波動理論の中で「スラスト(Thrust)」というロジックがあります。あまり一般的には知られていないかもしれませんが、これを学ぶことで、トライアングルからのブレイクを狙う時の成功率が格段に変わります。
よく見かけるトライアングルで、ブレイクを狙ってもなかなかうまくいかないと感じている方は、是非この機会に習得をしてください。


これは、相場がエネルギーを溜め込んだ後、一気に動き出す現象のことです。特に、「トライアングル(三角持ち合い)」と呼ばれるパターンの後に発生することが多く、トレードの大きなチャンスになり得ます。

この記事では、スラストの基本概念から、どのようにターゲットを計算するのか、そしてトレード戦略までを詳しく解説します!

スラストの定義

スラストとは、トライアングルなどの調整波が終わった後に発生する、急激な価格の動きのことを指します。
特にエリオット波動においては、
第4波のトライアングルが終わった後の第5波でスラストが発生しやすく、トレーダーが注目すべき重要な動きになります。

スラストの特徴

スラストには、いくつかの特徴があります。

① エネルギーを溜めた後の強い動き
トライアングルの間、相場は方向感を失いながらもエネルギーを蓄積しています。そのため、ブレイクした瞬間に価格が一気に動く傾向があります。

② 事前に目標価格を予測できる
スラストは、トライアングルの最大幅(ベース幅)を使って、どこまで動くのか予測することができます。詳しい計算方法は後述します。

③ 持続時間が短い
スラストは長く続くものではなく、短期間で終了することが多いです。
スラスト後に急反転する可能性もあるため、トレードの際には早めの利確が重要になります。

スラストが発生しやすい場面

スラストは、特定の波形が現れた後に発生しやすくなります。

❶トライアングルのブレイク後

トライアングルにはいくつかの種類がありますが、どのタイプもスラストが発生しやすいです。

シンメトリカル・トライアングル(対称型)
アセンディング・トライアングル(上昇型)
ディセンディング・トライアングル(下降型)
エクスパンディング・トライアングル(拡大型)

❷ ダイアゴナル(三角ウェッジ)パターンの終了後

「エンディング・ダイアゴナル(終了型ウェッジ)」の後は、逆方向にスラストが発生しやすい特徴があります。

スラストのターゲット(目標価格)の計算方法

スラストが発生すると、「どこまで動くのか?」を予測したいですよね。
ターゲットを計算する方法として、以下の2つが有効です。

① トライアングルの最大幅(ベース幅)を使う方法
トライアングルの最大幅(赤のライン)の値幅とスラストで伸びる値幅は同じになることが多いとされています。

② フィボナッチ比率を使う方法
スラストが発生した際に、フィボナッチ・エクステンションを使って目標を設定することもできます。

スラストを活用したトレード戦略

スラストを活かしてトレードするには、以下の戦略が有効とされています。

① ブレイクアウトを確認してエントリー
トライアングルの上限(または下限)を明確にブレイクしたらエントリー
ただし、「ダマシ(フェイクアウト)」に注意
② 目標価格をフィボナッチや最大幅で設定
1.618倍 または トライアングルの最大幅をターゲットにする
③ スラスト後の急反転に注意
スラストが終わると、急激な反転が起こることもあるため、早めの利確を意識

スラストの注意点

このトレード戦略は、机上論ではとても簡単そうに見えます。しかし、これを実践するとなると非常に難しいことがわかります。
それは、「トライアングル」の非常に厄介な性質があるからです。
トライアングルは内部の構成波動が非常に複雑になり、ブレイクしたと思ったら、すぐに戻ってきて、実はブレイクでは無かったというケースが多々発生するからです。
こちらのマトリックスを見てください。

トライアングルのブレイクを分類すると、グラデーションはあるものの基本的にはこの4つになります。
我々トレーダーは、この赤の点線である本物のスラストを見極めたいですよね。本物とダマしを見分けたい。ところがこれは現実的に不可能であることをまず理解してください。
何故なら、本物かダマしか分かるのは結果論で、エントリーする時点では、「・・・ぽい」で判断しなければいけないので、どうしても青い点線でしか判断できないんですよね。

つまり、全てのスラストを取ることは不可能であるという大前提を理解する必要があります。
では、ここからが書籍等ではおそらく書かれていない実践で使ってきた人にしかわからない秘訣を解説していきます。
じゃあ、ここからどうすればいいのか?
それは、本物かどうかの見極めの精度を少しでも上げること、騙されたと思った時の損失を減らせるチャンスを見極めることです。
損失を減らすのではなく、損失を減らせるチャンスを見極め、損失が大きくなる場合はスルーするというところがコツです。
この内容について、より深く学びたいと思われる方は、こちらをご覧ください。

スラスト徹底分析の秘訣



『トライアングル完全攻略』

こちらの記事では、スラストの前提となるトライアングルの仕組みやルール、ガイドライン等について詳しく解説しています。また、スラストを実際のトレードで使うためにはどんな知識が必要なのか?トライアングル関係に必要な知識を網羅していますので、是非ご覧ください。

基本を理解し、チャートに落とし込むことが大切

個人的には、エリオット波動の実践で使っていくというのは、このような本に書かれている知識を具体的に考察をすることを、ひとつひとつ積み上げていくことだと思います。表面的なエリオット波動の知識を覚えても、勝てるようにはならないと思います。

今回の記事も、エリオット波動の書籍の中では、1ページにも満たない文章です。でもやっぱり、常に教科書として手元にこの本は置いておきたいですね。

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