第3波は、常にチャンネルブレイクするのか?

第3波は、常にチャンネルブレイクするのか?

実は、何度かこれについて調べてはみたのですが、現時点での見解として書いていきます。

まず、何が問題になっているのかを解説します。エリオット波動理論の中でチャネリング(channeling)という手法があります。これは、それぞれの波の終点を予測することに役立つとされています。

この手法については、今回は省略します。(解説のご希望があったらコメントください)

第3波がチャンネルブレイクするとは?

「第3波については、始点から2波の終点を結ぶラインに対し、1波の終点から引かれた平行ライン(以後アッパーラインと呼びます。)を上に突き抜ける」としたものです。

第3波が延長する典型的な衝撃波(インパルス波)において、このチャンネルブレイクが起きると、「このブレイクした波は、第3波として判断してよい場面だと思います。また、大抵の場合において、このチャンネルブレイクが発生したときには、第1波の値幅も超えてきていることが多いですね。

では、逆にチャンネルをブレイクしなかったら?それは第3波と言えるのだろうか?それとも言えないのだろうか?

「第3波は100%チャンネルブレイクする」という説について、この説を展開しているのは、日本のエリオット波動の研究者として有名な杉田勝氏です。

「…3波はこの延長戦上を必ず上回ります。上回らない場合は推進波ではありません。」

出展:FXエリオット波動実践投資(杉田勝著)

との記述をしています。これについて検証を行ってみたというのが今回の内容です。

他の文献では

Wave number three should normally terminate at around the upper channel line.If wave number three exceeds the upper channel line,the upmovement has taken on temporary strength,whereas if wave number three terminates below the upper channel line,the upmovement has developed temporary weakness

出展:The Wave Prunciple

訳すと
「第3波は、チャンネルのアッパーライン周辺で終えるべきである。もしも第3波がチャンネルのアッパーラインを越えた場合は、上昇の動きは強いものと仮定される。逆に第3波がチャンネルのアッパーラインより低く終えた場合は、上昇の動きは弱いものと仮定される。」

つまり、第3波がチャンネルのアッパーラインを超えないことも想定されていると解するのが妥当に思われます。

続いて

Wave 3 ,normally parallel to wave 1 ,should end in the approximate vicinity of the tentative or dashed upper line of the channel.

出展:Financial World Articles

訳すと、「通常は1波と平行である3波は、破線で書かれたチャンネルのアッパーラインの周辺で正確に終わるべきである」としています。これも、もしも越えた場合は・・・と続きますので、ここでも、やはり第3波がアッパーラインを超えないことを想定されているように解します。

第1波が衝撃波になったら?

もうひとつ別の視点からですが
衝撃波においては、第1波がエクステンションされることも想定されています。
「The Wave Principle」において波の理想的な比率について書かれている部分があります。それによると、第1波がエクステンションした場合は、第1波の値幅を1.00、第2波から第5波までを0.618としています。
この理想的な比率に加えて、「衝撃波では、第4波と1波が重ならない」というルールを踏まえて、考えてみると、第3波がチャンネルブレイクするのは、とても困難と思われます。
(第2波の下落と第3波の上昇が時間的に極端に短い場合のみ可能になります)

こんな感じの波形であれば、条件はクリアしてはいますが。

また、「エリオット波動入門」の図6.12についても、3波がチャンネルブレイクをしていないようみ見えます。

出展: エリオット波動入門

結論

以上の検証から、個人的には、エリオット波動理論では、第3波が必ずしもチャンネルをブレイクするわけではないと考えます。ただ、第3波が延長する場合は、間違いなくブレイクするものと思われます。

もしも、エリオット、プレクター、フロストらの書かれたもので、100%ブレイクするとの記述を見つけた方は、ご連絡していただけると非常にありがたいです。

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