アメリカのCPIが21年以降で最も低い伸びもコアは高止まり、ドル円相場は利上げ再開への期待で上昇

アメリカのCPIが21年以降で最も低い伸びもコアは高止まり、ドル円相場は利上げ再開への期待で上昇

こんにちは。今回は、7月12日に発表されたアメリカの6月の消費者物価指数(CPI)とそのドル円相場への影響について考察してみたいと思います。

7/12に発表されたアメリカのCPIの結果はどうだったか?

6月のCPIは前年比3.1%と21年3月以降で最も低い伸びとなりました。これは、市場予想の3.4%を下回る結果でした。
主な下落要因はガソリン小売価格などのエネルギー価格で、前月比では0.5%減少しました。エネルギー価格は、原油価格の下落や供給過剰の影響を受けています。
コアCPI(食料・エネルギーを除く)は前年比5.0%と21年後半以来の小幅な上昇ながら高止まりしました。これは、市場予想の4.9%をわずかに上回る結果でした。
コアCPIを押し上げた要因は、サービス価格や中古車価格などでした。サービス価格は前月比0.4%増加し、賃金上昇や需要回復の影響を反映しています。中古車価格は前月比10.5%と過去最大の上昇を記録しました。中古車価格は、新車生産の減少やレンタカー需要の増加などによる供給不足が続いています。

CPIの結果がドル円相場に与えた影響は?

CPI発表後、ドル円相場は109円台から110円台へと上昇しました2。これは、インフレ懸念の緩和や金利上昇期待などがドル高・円安の要因となったからです。
インフレ懸念が緩和されると、米連邦準備制度理事会(FRB)が急激な金融引き締めを行う可能性が低くなります。これは、ドルに対する過度な売り圧力を和らげることにつながります。
一方、金利上昇期待が高まると、ドルに対する買い圧力が強まります。金利が上昇すると、ドル建て資産の収益性が高まり、ドル資産への投資需要が増えます。また、金利差が拡大すると、ドル買い・円売りのキャリートレードが有利になります。
ドル円相場の動向に関する市場の見方や予想は、以下のようなものがあります。

三菱UFJモルガン・スタンレー証券の植野大作チーフ為替ストラテジストは、来週はブラックアウト期間に入る米国よりも、ブラックアウト期間ではない日銀絡みで追加の情報がどう出てくるかに注目したいと述べています。円高の背景として、内田日銀副総裁の発言が政策修正観測を高めたことがきっかけとされており、こうした動きに対して火消しに動くのか否かが重要だと指摘しています。火消しに動いた場合には139円台まで戻す可能性がある一方、否定もせず放置した場合には、会合が近づくにつれて修正に関する思惑が強まり、ドル・円は1月安値から6月高値までの上昇幅の半値である136円15銭を割り込む動きもあるだろうと予想しています。

来週のドル・円はもみ合いか、日銀関連報道で下振れリスクも – Bloomberg

オーストラリア・ニュージーランド銀行外国為替・コモディティ営業部の町田広之ディレクターは、ドル・円はレンジ相場の中でやや戻す展開を見込んでいます。インフレ鈍化で米金利が低下したが2024年末にかけてFOMCが見込む以上の利下げを織り込んでおり、行き過ぎ感があると指摘しています2。来週の米経済指標は横ばいか回復気味の内容が予想されており、米金利低下が修正される可能性があり、ドル・円の上昇要因になると見ています。日銀の7月会合については政策修正はないとみており、139円台への戻りも想定していると述べています。ただし、政策修正観測を高めるような報道が出てくるとドル・円は200日移動平均線を割り込むリスクが高まると警戒しています。

来週のドル・円はもみ合いか、日銀関連報道で下振れリスクも – Bloomberg

今後のアメリカのCPIやドル円相場について

アメリカのCPIについては、一時的な現象という見方やコアCPIが高止まりする可能性があります。
一時的な現象という見方は、物価上昇の主な要因がエネルギー価格や中古車価格などの供給不足や需要回復によるものであり、これらは時間とともに解消されるという考え方です。この見方を支持する根拠としては、インフレ期待や賃金上昇率が安定していることや、物価上昇のペースが鈍化していることなどが挙げられます。この見方をする場合には、FRBが金融政策の正常化を急ぐ必要はないと考えられます。
コアCPIが高止まりする可能性は、物価上昇の要因がサービス価格や賃金上昇などの構造的なものであり、これらは時間とともに解消されにくいという考え方です。この見方を支持する根拠としては、サービス価格や賃金上昇率が高水準を維持していることや、物価上昇の伝搬効果が他の項目にも及ぶ可能性があることなどが挙げられます。この見方をする場合には、FRBが金融政策の正常化を早める必要があると考えられます。
ドル円相場については、FRBの金融政策やテーパリング、利上げ再開のタイミングに注目です。
FRBは6月のFOMCで、2024年末までに利上げを2回行うという見通しを示しました。しかし、市場はこの見通しよりも慎重で、FF金先市場では7月の利上げが最後となる可能性を織り込んでいます。このギャップが埋まるかどうかは、今後の経済指標やFRB高官の発言によって変わる可能性があります。利上げ期待が高まればドル高・円安に、利上げ期待が後退すればドル安・円高になる可能性があります。
FRBはテーパリング(資産買い入れの縮小)についても議論を始めています。テーパリングは利上げよりも先行すると考えられており、そのタイミングやペースによってもドル円相場に影響を与える可能性があります。テーパリングが早まればドル高・円安に、テーパリングが遅れればドル安・円高になる可能性があります。
ドル円相場の上値や下値の目安や要因は、以下のようなものがあります。
上値の目安は140円台で、要因はインフレ懸念の再燃や利上げ期待の強化などです。インフレ懸念が再燃すれば、FRBが金融引き締めを急ぐ可能性が高まります。利上げ期待が強化されれば、ドル資産への投資需要やキャリートレード需要が増えます。これらはドル高・円安を促す要因です。下値の目安は136円台で、要因はインフレ鈍化や利下げ観測の浮上などです。インフレ鈍化すれば、FRBが金融引き締めを緩める可能性が高まります。利下げ観測が浮上すれば、ドル資産からの投資撤退やキャリートレード解消が起こります。これらはドル安・円高を促す要因です。

今後も経済指標や金融政策の動向に注目していきたいと思います。ご覧いただきありがとうございました。

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