7/21のドル円急騰の真相と今後の展望

7/21のドル円急騰の真相と今後の展望

こんにちは、先週の金曜日、7/21に東京外国為替市場でドル円が急騰しました。一時は141.65円まで上昇し、11日以来の高値を付けました。これは、前日の終値から約2円もの大幅なドル高・円安となりました。

この急騰の背景には何があったのでしょうか?また、今後のドル円相場はどうなるのでしょうか?

今回は、これらの疑問に答えるべく、3つのポイントについて解説します。

7/21のドル円急騰の原因

7/21にドル円が急騰した主な原因は、日銀のイールドカーブコントロール(長短金利操作、YCC)に関する報道でした。

一部通信社が、日銀関係筋の話として、「日銀はYCC見直しの是非が議論の対象となり得ると認識」としながらも、「現時点ではYCC修正の必要性は乏しいと見ている」と伝えました。

この報道を受けて、市場では日銀が金利を低く抑える政策を継続するという見方が強まりました。これは、日本国債への投資意欲を減退させ、海外への資金流出を促すことになります。つまり、円売り・ドル買いにつながります。

また、この報道と同時に、米国債利回りが上昇したこともドル高を支援しました。

米国では、ミシガン大学消費者信頼感指数が予想を大幅に上回ったことなどから、FRB(米連邦準備制度理事会)の利上げ打ち止め観測が揺らぎ、利上げ長期化説が再浮上しました。

これは、米国債への投資意欲を高めることになります。つまり、ドル買い・円売りにつながります。

以上のように、日本と米国の金融政策や金利水準の差が拡大することで、ドル円は急騰したと考えられます。

相場は、噂で動くというところですね。

今後の金融政策や経済指標に注目すべき点

では、7/21のドル円急騰は一過性のものだったのでしょうか?それともトレンド転換の兆候だったのでしょうか?

今後のドル円相場を予測するためには、日本と米国の金融政策や経済指標に注目する必要があります。

まず、日本の金融政策については、7/28に日銀の金融政策決定会合が開催されます。

この会合では、日銀がYCCの見直しを行うかどうかが最大の焦点となります。もし日銀がYCCの見直しを発表すれば、長期金利の上昇圧力が強まり、円高要因になります。

逆に、日銀がYCCの見直しを見送れば、長期金利の低下圧力が強まり、円安要因になります。

次に、米国の金融政策については、7/25~26にFRBのFOMC(連邦公開市場委員会)が開催されます。

この会合では、FRBが利上げを続けるかどうかが最大の焦点となります。もしFRBが利上げを続ける姿勢を示せば、米国債利回りの上昇圧力が強まり、ドル高要因になりうるでしょう。逆に、FRBが利上げを打ち止める可能性を示唆すれば、米国債利回りの低下圧力が強まり、ドル安要因になりうるでしょう。

また、金融政策だけでなく、経済指標もドル円相場に影響を与えます。特に注目すべきは、7/28に発表される米国のGDP(国内総生産)速報値です。

この指標は、米国経済の成長率を示すもので、予想より高ければドル高要因になりますし、予想より低ければドル安要因になります。

ドル円相場の見通しと戦略

以上のように、今後のドル円相場は日米の金融政策や経済指標に左右される可能性が高いです。普段テクニカルトレードしかしていない方でも、今週の日米の金融政策の動向には注意をしないといけません。

個人的には、「米金利上昇=ドル高・円安」再燃は限られると予想します。なぜなら、

日銀はYCCの見直しを急ぐ必要性は低いと考えられる。
FRBはインフレ圧力や景気減速リスクを警戒して利上げペースを緩める可能性がある。
米国債ポジションは空前の売り越しとなっており、「売られ過ぎ」から買い戻しが起こる可能性がある。

と考えているからです。

したがって、今週のドル円相場は136~141円中心での展開を想定します。

戦略としては、

140円台後半でドル売り・円買い
136円台前半でドル買い・円売り
を行うことをおすすめします。

もちろん、市場は常に変化するものです。予想と異なる動きが起こった場合は、柔軟に対応する必要があります。

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