なぜ、資産が減っていくのか?
トレードを始めていきなり勝ち続けている方はかなり少ないと思います。大半の方が最初に口座に入金した資産を数か月のうちに溶かしてしまっているのではないでしょうか?
FXは、突き詰めれば上がるのか下がるのか?の2択でしかありません。例えば利益確定を100pips、損切りを-100pipsとして、サイコロを振って、偶数なら買い、奇数なら売りというトレードをしたとしても、統計学的には、資産が増えていくことはありませんが、減っていくこともありません。
何も考えずにサイコロを振ったとしても、勝率50%、リスクリワード比率1:1というのが成績としての期待値です。(正確には、スプレッドという業者の手数料がかかりますが)
そして、相場に関する書籍を読み、チャートの見方を勉強し、ネットでいろいろな手法を研究し、スタート時点の期待値を上げていくための努力をしたはずです。
にもかかわらず、1年以内に9割の参加者が相場から去っていくと言われるのが、FXという世界です。
つまり、FXの成績曲線というのは、スタート地点からどんどん下落していくというのが、いわば標準です。
自分だけじゃありません。誰もが通る道です。
なぜ、そうなってしまうのか?どうやってその状況を抜け出すのか?については、順に解説をしていきたいと思いますが、今回の記事では、まず、その上達の時期までに破産してこの世界から退場しないためにどうすればいいのか?を解説します。
勝率50%は、本当に半分勝てるのか?
では、期待値として勝率が50%の場合に、100回トレードをしたとすると、実際には何回勝てるのか?検証してみましょう。エクセルのランダム関数を使用して、100回トレードした時に何回勝てるのか?を100回確認してみました。
結果としては、このようになりました。勝率の期待値が50%といっても、本当に50回勝つ場合は、11回でした。中には、63回も勝っている場合や、38回しか勝てなかった場合もあります。
この中で58回勝った時の資産増減グラフがこちらです。
成績としてもトータル16万円のプラスで、資産も右肩上がりに伸びてますね。非常にいい成績に見えます。
次に42回勝った場合(58回負けた場合)の資産増減を見てみます。
成績としは、マイナス16万円で右肩下がりです。この成績だと、自分の手法が50%の勝率があるとはなかなか思えませんよね。
ここでのポイントは、どんなに期待値の高い手法を使ったとしても、確率のブレによって、100回程度のトレードでは成績に大きく違いが出るということを知ってほしいです。
バルサラの破産確率表
では、それだけ結果にブレが出てしまうという状況の中で破産しないためには、どうすればいいのか?
そしてこの破産確率を計算するツールとして、『バルサラの破産率表』というものがあります。ネット上で検索するとかなり出てくると思います。情報元は、この本になります。
1992年に、Nauzer J. Balsara(ナウザー・ジェイ・バルサラ)が出版した著書の中に「バルサラの破産確率表」は、あります。
ここで、破産する確率を計算するために必要な数値は、次の3つとされています。
- 成功の確率
- ペイオフレシオ、または、勝ったトレードの平均利益と負けたトレードの平均損失の比率
- 取引にさらされる資本の割合
この3番の取引にさらされる資本の割合に応じて、複数の表が掲載されています。
本当は、この表を掲載したいのですが、著作権の問題がありますので、このサイトでは省略します。もしも原書を買われるのであれば、第2章に掲載されていますが、ネット上で、上記の注意点に気を付けて拾ってもらえればと思います。
そして、破産しないために一番大切なのは、3番の「取引にさらされる資本の割合」です。
1%ルールの徹底
いま現在負けている場合や、初心者の方は、「1%ルール」を徹底しましょう。
これはどういう事かというと、「バルサラの破産確率」でいうところの「取引にさらされる資本の割合」を低くすることにより、破産の確率を減らすという手法です。
なぜなら、破産の確率が計算される3つの数値のうち、トレーダーがコントロールできるのはここだけだからです。
勝率や、リスクリワード比率は、コントロールしようと思ってできるものではありません。
具体的には、投資資産(口座に入れている証拠金)が10万円だとしたら、1回のトレードの「取引にさらす資本」つまり、損切りの金額を1%である1,000円を最大としましょう。というルールです。
この記事の前半で分析した確率のブレが最悪に下振れしたとしても、100回連続で負け続けなければ破産することはありません。
でも、損失1,000円のトレードだと、勝った時もあんまり増えない気がしますが…
今は、資金や時間を使って、「トレードで稼ぐための技術やノウハウを学ぶ時期」です。
医者や弁護士でも、大学に入学し、時間と学費を支払って学ぶのと同様に、トレードにも学ぶ時期があります。
トレードを初めて、いきなり稼げるようにはならないので、安心して「1%ルール」を守ってください。
最後に
私がFXを始めた頃は、国内口座でもレバレッジ400倍とかありました。そして、なんとなく手を出して、30万円の資金を3か月で20倍にできました。正直自分には「才能があるんじゃないか」と勘違いもしました。しかし、一旦うまくいかなくなると、どんどん資産は減っていきました。わずか1か月で、600万円がゼロになりました。
負け始めた時に、焦りました。そして気づきました。地道な努力をして来なかった自分には、ポジションを持っている時に、「成功体験」というバックボーンしかなかったのです。それが「失敗体験」が増えるにつれて、心の中を不安が侵食していきました。
そこから、「5億円稼ぐための本」とか「誰でも簡単に稼げる本」とかを、読み漁りましたが、結果は出ませんでした。
もちろん、今では滅多にありませんが、5連続で負けたとしても、自分の中の何かがブレることはありません。
「ちょっと確率が悪い方に出ているなー」とか「ちょっと相場状況が自分の手法とマッチしていない時期かな」という判断をして、自分の勝ちやすい相場状況が来るのを待つと思います。
「1%ルール」を守って、しっかりとしたトレード経験を積み重ねてください。行き当たりばったりの稼ごうとするトレードは、ギャンブルに過ぎませんし、自分の中になんの蓄積もされません。どちらかと言えば「悪い成功体験」を蓄積してしまうかもしれません。
次回は、しっかりとしたトレード経験ってどんなことをすればいいのか?を掲載したいと思います。
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