なぜドルが買われると価格が上がるのか?外国為替市場の深層を探る

なぜドルが買われると価格が上がるのか?外国為替市場の深層を探る

皆さんは外国為替市場でよく、「ドルが買われたから、値段が上がる」という表現を耳にすることはありませんか?これは一見直感的ではありません。「もし誰かが買うなら、同じ量を誰かが売るはずなのでは?」と思うかもしれません。それでは、この現象を詳しく解説しましょう。

需要と供給-価格を動かす原動力

まず基本から理解していきましょう。外国為替市場の価格は、通貨の需要と供給によって決まります。これは市場経済の基本的な原則であり、通貨の価格も例外ではありません。「ドルが買われたから、値段が上がる」という表現は、この需要と供給の関係を指しています。

具体的に説明しますと、ある通貨(この場合はドル)に対する需要が高まると、その通貨の価格は上昇します。これは、ドルを求める人々(買い手)が多ければ多いほど、そしてドルを持っている人々(売り手)が少なければ少ないほど、または売り手がドルを手放すための価格(つまり、その通貨の「売り」の価格)が高ければ高いほど、需要が供給を上回るためです。

逆に言えば、売り手が多く、または売りの価格が低い場合、供給が需要を上回り、その通貨の価値は低下します。

価格動向の本質

でも、買う人がいるってことは、同じだけ売る人がいないと取引が成立しないから、結局、買う人も売る人も同じってこと?

「誰かが買うなら、同じ量を誰かが売る事になる」という考え方は、それぞれの取引においては確かに正しいです。しかし、市場全体の価格決定においては、全体の需要と供給のバランスが重要となります。

外国為替市場は非常に大規模で、一人一人の取引が直接的に価格に影響を与えることはありません。しかし、全体として買い手(需要)が売り手(供給)よりも多くなると、価格は上昇します。同様に、全体として売り手が買い手より多くなると、価格は下降します。

「ドルが買われたから、値段が上がる」という表現は、多くの人々がドルを買いたいと思っている、つまりドルへの需要が高まっていることを示します。これにより、ドルの価値、つまりドルの価格が上昇するのです。



ドルが「買われる」意味

ここで1つ深堀りしましょう。すべての買い注文には必ず売り注文が対になっています。一見すると、買い手と売り手が等しい数だけ存在しているはずなのに、なぜ価格が動くのでしょうか。

これは、買い手と売り手が等しいだけではなく、彼らがどの価格で取引をしたいと考えているか、つまり彼らの意識が大きく関わってきます。仮に、全員が1ドル=110円で取引したいと思っているなら、確かに価格は動きません。しかし、実際にはそうはならず、買い手と売り手がどの価格で取引したいと考えているかは人それぞれです。

たとえば、110円のドルを買いたい人が大量にいる一方で、売り手は115円で売りたいと考えている場合、市場の価格はその間で揺れ動きます。売り手が我慢できずに110円で売ってしまうか、買い手が115円で買うことを決断するか、あるいは双方が妥協して112円で取引が成立するか、さまざまな結果が考えられます。

このような各個人の価格感の違いにより、市場全体の価格が動くのです。そして、「ドルが買われる」、「ドルが売られる」といった表現は、このような市場参加者全体の価格感、すなわち需要と供給のバランスを言い換えたものだと理解することができます。

まとめ

外国為替市場における価格の動きは、単純に買い手と売り手の数のバランスだけでなく、彼らがどの価格で取引をしたいと考えているか、つまり需要と供給のバランスによって決まるのです。

これを理解することで、市場の動きをより深く理解することができ、より有効な投資判断を下すことが可能となります。次回から「ドルが買われた

から、値段が上がる」という表現を見聞きした際には、それが意味する深層的な市場の動きを思い浮かべてみてください。それは単にドルを買う人が増えただけでなく、ドルへの全体的な需要が供給を上回り、市場全体として価格を上昇させる力が働いていることを示しているのです。

また、逆の状況、つまり「ドルが売られたから、値段が下がる」と言われるときも、これはドルへの供給が需要を上回った結果と考えることができます。具体的には、ドルを手放したいと考える人々が増え、それに対してドルを欲しがる人々が少ない状況です。このような状況では、ドルを売りたい人々が競争する形で価格を下げることが求められ、結果としてドルの価格は下落します。

このように、外国為替市場の価格は、通貨への需要と供給のバランスによって決まります。市場全体の動きを理解し、投資判断を下す際には、この基本的な原理を念頭に置いておくことが重要です。

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