チキン利確の処方箋

みなさんは、相場の世界で初心者がかかる三大病のひとつである恐怖のチキン利確病について知っていますか?まさにかかっている方もみえるかもしれませんね。

チキン利確とは?

エントリーした直後って、ポジションがプラスになったりマイナスになったり、行ったり来たりしますよね。もうその度にドキドキしてて、マイナスになる前にすぐに利確しちゃうんです。

すぐというのは、どのくらいですか?

待てても10pipsくらいです。そこまで行ったのにもしもマイナスになってしまったらという不安に勝てません。でも、利確して安心して、次の日に見ると、そのまま50pipsとか100pipsとか伸びてたりして、「自分のバカ」って思います。

そうですね。それは、チキン利確病というある種の病気です。

チキン利確の原因は?

これも特に初心者の頃に、特にしっかりと本を読んだり勉強したりしている方が陥る症状ですね。ある程度勉強をしていれば、適当なタイミングでエントリーすることは少ないと思います。自分なりの上がるまたは下がるという理由や根拠を持ってエントリーをしていることになります。

にもかかわらず、ポジションがマイナスになるというのは、「自分の正しいと考えた判断の全否定」ということになり、どうしても人間はストレスを感じやすいのです。それは、人間の本能ともいえる損失回避傾向によるものです。

これも、「ポジポジ病」の原因と同様にプロスペクト理論によるものです。特にプロスペクト理論における「価値関数」というものが大きく起因しています。

価値関数とは

これは、同じ価値であった場合に人間は、利益を得ることよりも損失を回避することを選択する傾向にあるということです。

例えば、現在のポジションがプラス5,000円だとします。次の日まで待てば、5割の確率で15,000円に増えるかもしれない。逆に5割の確率でマイナス5,000円になるかもしれないとしたら、どうしますか?

15,000円になるのが理想だけど、マイナス5,000円になるのは嫌なので、今の5,000円で利益を確定しておくのが賢いのではないでしょうか?

まさに、これが初心者をカモにする「チキン利確病」の恐るべきトラップですね。

価値関数には、もうひとつの人間の非合理的な傾向について説明があります。

例えば、現在のポジションがプラス10万円だとします。 次の日まで待てば、5割の確率で10万5,000円に増えるかもしれない。逆に5割の確率でマイナス9万5,000円になるかもしれないとしたら、どうしますか?

そこまで、行ってるなら正直どちらでもいいですが、今後も伸びる可能性があるので、次の日まで待ちます。下がっても9万5,000円はもらえるわけだし。

これは、同じ5,000円という金額でも、全体金額の比率によって、その差額に対する価値観がずれてしまう傾向があるということです。

そして、この二つが重なると、ポジションを持ち始めた序盤の、ポジションがマイナスとプラスを行ったり来たりしている時期に、このチキン利確病が牙を剥き、初心者の多くが利確をしてしまうことになります。

しかし、この時期を抜けてしまえば、今度は逆にプロスペクト理論が働き利益を伸ばしやすくなることもあります。

ポジションを持ってからのマイナス10pipsは、ストレスを感じて合理的な判断が難しくても、80pipsプラスになっている時のマイナス10pipsはどうでしょうか?「これだけ上昇していれば、それなりに戻しもあるだろう」と考えるでしょうし、70pipsに下がったからといって慌てて利確することはないと思います。

チキン利確の特効薬は?

これは、有ります。今からの説明をしっかりと腑に落ちるまで読んでください。

「損失は、トレードに参加するための場代です。必要なコストです。」

自分が戦略を立て、チャンスだと思った時に、そのトレードに参加するためには、コストが必要なのです。

漁師が「餌」や「ガソリン代」というコストを使って漁に出るのと同じです。

ブラックジャックのカードゲームに参加するのに、場代が必要なのと同じです。

最初に想定した損失は、そのトレードチャンスに参加するためのコストであり、もう払ってしまったものと考え方を変えなければなりません。

最初に、10pipsとか20pipsの幅で損切り注文を一旦入れたのであれば、それはその10pipsや20pipsは、参加した時点で、その分の資産がマイナスになったと考えるのです。

ただ、これを覚悟できるようにするには、3つの重要なルールが必要になります。

1.エントリーと同時に損切注文を入れる

これは習慣化してください。常に10pipsというのは間違った損切注文の入れ方です。損切注文を入れる位置には正解があります。正解は、「そこまで行ってしまったら、今回の自分の上がるまたは下がると考えた判断が誤りであった」と確認できる位置です。

この具体的な設定については、近日中に開設します。

2.利益幅と損切幅を比較すること

エントリーの時点で、損切幅と利益幅を想定で比較することが重要です。エリオット波動理論信者でなくとも、相場が上下の波形を大小繰り返すように値動きをしているのは、共通認識だと思います。

どこまで伸びる可能性があるのか?という利益想定幅をしっかりと事前に考えなければいけません。なぜなら、その利益想定に対して、損切幅のコストを払う価値があるのか?という判断をするためです。

実際の運用については、エントリーを引き付けることによって、利益幅を拡大し、損切幅を縮小することができます。その代わり引き付けることにより、参加機会は減少します。

ブラックジャックで1枚目が絵札やエースであれば、勝つ可能性が高くなります。そのカードが来るまで勝負を待てるのか?というのと同じです。

3.適切なポジションコントロール

上の2つをしっかりと理解して行うことができれば、まず序盤のマイナスになってドキドキしたり、ストレスを感じることは、少なくなると思います。

徐々にプラスになったとしても、当たり前ですが、自分がポジションを持った時だけ都合良く一方向に伸びることはありません。上下を必ず繰り返します。

あまりに早く損切り注文を引き上げれば、せっかく上下の見立てが合っていたのに、僅かな利益で終わってしまっては、残念でなりません。

また、これ以上伸びる可能性が否定されたにも関わらず、ポジションを閉じずに持ち続ければ、大きな含み益だったものが、僅かな利益で終わってしまいます。

そうならないように、適切なタイミングでのポジションの管理が必要になります。

これを行うことで、損失を抑えて、利益を伸ばすという「損小利大」を偶然たまたまではなく、ロジカルに管理することが可能となります。

成功する人の過程は

チキン利確を克服することは、独学では難しいかもしれません。ただ、しっかりと偶然ではない、論理的な自分なりの積み重ねをしていくことで、必ず自分スタイルの資産の増え方が見えてきます。

これまで大勢のトレーダーの皆さんの成功へのお手伝いをしてきましたが、ほとんどの方が同じような道をたどります。

まず、成功する人は、トレードの回数が減ってきます。そして負けの回数があまり減らなくても、負けた時の損失額が少なくなってきます。そして、勝ちと負けの収支が同じくらいになってきます。

そこから、たまに大きな勝ちが出るようになります。徐々に負け方が上手くなり、大きな勝ちが増えていきます。

本当に大体の方が、このような成長過程を進みます。

「チキン利確」と「ポジポジ病」は、初心者がどうしても最初に超えなければならない壁です。ほとんどの方がこの壁を乗り越えられずにやめていきます。逆にこの壁を乗り越えることができれば、資産を減らさないトレーダーに成長することはできます。頑張りましょう。

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