スラスト徹底分析マニュアル

スラスト徹底分析マニュアル

「スラスト」って何?

今日は、「Thrust」について、掘り下げて考えていきたいと思います。
トライアングルが第4波に現れた時に、第5波がトライアングルのもっとも広い幅の距離を動くとした現象です。そしてその第5波の事を「スラスト」と言います。 まずは、一度見てみましょう。

株式相場でトライアングルが第4波のところに出現すると、第5波はしばしば動きが速く、そのトライアングルの最も広い部分の距離をほとんど動くことになる。エリオットは、トライアングルに続くこうした値動きの速い推進波を呼ぶときに「スラスト(Thrust)」という言葉を使っている。一般にこうしたスラストは、エンディングダイアゴナルとなる。

エリオット波動入門

この青い部分の事をスラストと言います。基本的には、エンディングダイアゴナルになるとされています。第3波の頂点から、A波までの値幅(緑の矢印)とスラストとなる第5波の全体の値幅が同じになる。(ことが多い統計的に)という話ですね。

相場の心理的にも、納得できるというか「あるある」と感じる場面ではないでしょうか?トライアングルの外側に置かれた損切のストップ注文を巻き込んで強く短い上昇、しかしながら全体としての相場の上昇力を失ってエンディングダイアゴナルを形成して、上昇相場の終焉となるケースですよね。

スラストにならない場合とは?

とはいえ、第4波でトライアングルが出現した時に、必ず第5波がスラストになるという訳ではないんですよね。第5波がスラストにならずに、延長波になり、第3波を超える値幅になる場合があるという話です。

力強い相場ではスラストではなく、延長した第5波となる。したがって、もしもトライアングルに続く第5波が通常のスラストを超えるような動きになれば、それは延長波になる可能性が高いというシグナルである。

エリオット波動入門

ここまでが、本やネットに書かれているスラストの知識です。では、ここからこの知識をどうやって使うのか?について、考察していきたいと思います。



スラストを実際に使うためには

実際の状況を想定すると、「第4波で、トライアングルが出現した場合に、第5波が〇〇〇になる。」ということです。そして、とっても重要な事は、この〇〇〇に入るパターンは、上記の2種類ではなく、3種類になります。

①スラストとなって、エンディングダイアゴナルとなる。その場合の値幅は、第3波の頂点からトライアングルA波までの値幅と同じになる。

②第5波が延長する。

③上記のどちらでもない

これを、トレードに利用するというのは、第3波等で既にポジションを持っていて、どこまで利益を伸ばせるのか?第5波の終点は、どこまで行くのかというシーンではないかと思います。

最初の仮定としては、スラストになることを想定すべきですね。なので、トライアングルを突破して、第5波がスタートしたところから観察をしていきます。

スラスト想定の値幅ラインを超えてくるのか?来ないのか?を見ます。第5波の中の第1波や、第3波でこのラインを超えて来た場合は、②の延長するケースの可能性が高いことになります。

このような場合ですね。もう少し利益を伸ばせる可能性が上がったことになりますので、延長の場合を仮定して終点のターゲットを絞り込んでいくことになります。

逆に5波中の第3波までが終わって、第4波が形成されてきてもスラストの値幅ラインを超えて来なかった場合は、終点のターゲットをこのスラストの値幅ラインで想定して、利益を確定していくという判断になります。ダイアゴナルなので、副次波も5波構成ではなく、3波構成となりますので、その辺りも含めて判断できるといいですね。

エントリーには使わないように注意

エントリーポイントとして、このスラストを使う機会は、あまり無いと思います。それは③のケースの可能性があるということです。イレギュラーなケースと書きましたが、よくあるのはトライアングルでは無く、複合の修正波になったり、もう少し大きなトライアングルだったりするケースがあります。

絶対にやってはダメなのは、スラストの値幅ラインを超えたから、「これは延長するはずだ」と思い、飛び乗ってエントリーしてしまうことですね。使い方としては、ポジションを持っている時の利確ターゲットの見極めに使える手法ですね。

基本を理解し、チャートに落とし込むことが大切

個人的には、エリオット波動の実践で使っていくというのは、このような本に書かれている知識を具体的に考察をすることを、ひとつひとつ積み上げていくことだと思います。表面的なエリオット波動の知識を覚えても、勝てるようにはならないと思います。

今回の記事も、エリオット波動の書籍の中では、1ページにも満たない文章です。でもやっぱり、常に教科書として手元にこの本は置いておきたいですね。





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