猿に勝つのは難しい

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楽して稼げる手法はあるのか?

ネットや動画を見ていると、「この方法を使えば誰でも簡単に稼げる」というような釣り文句で溢れかえっていますが、その大半は、その釣り文句に誘われたかたが資金やリスクを支払い、その利益が何らかの方法で釣った人に還元される仕組みとなっています。

何か、自分でも勝てる手法がないかを探されている場合は、そんな楽な必殺技はないので、注意が必要です。

猿に勝てますか?

もしも何も知らない猿が、頭に手をあてたら「買い」、お尻にてを当てたら「売り」でトレードをするとします。猿なので、プラス100pipsになったら利益確定、マイナス100pipsになったら、損切りするものとします。

さて、あなたは1年間、この猿とトレードで勝負をしたときに勝てるでしょうか?

猿の成績は、年間で期待値どおりの結果となるなら、プラスマイナスゼロとなります。なので、年間で毎年プラスになっていれば、勝てていることになりますし、年間でマイナスになっている人は、猿に勝てていないことになります。

なぜ?猿に勝てないのか?

おかしいですよね。チャートを見て、いろんな勉強をして時間と労力を費やしているのに、何もしらない猿に勝てないなんて。でも、年間ベースで勝てていないということは、実際そういうことになります。

この理由は、「不安」と「欲」から来るものです。心理学的には、プロスペクト理論と呼ばれるものが、人間にはもう本能的にもっているものなのです。おそらく勝てるようになるまでの最初に超えなければいけない壁はここです。

これは、「誰でも勝てる楽な手法」では超えることは決してできない壁です。

性格にあったスタイルを選ぶ

自分は、手法の違いによる優劣はあまりないと考えています。同じ手法でも、優れたパフォーマンスを出しやすい人もいますし、その逆もあります。ただ、今回お話ししてきた「猿」が原点であるというお話をさせていただきます。

勝率50% リスクリワード比率50%:50%

このスタイルが猿ですね。大前提として、相場がランダムウォークであり、上下の可能性は半々だとしています。

このニュートラルのベースから、「勝率」と「リスクリワード」を調整してみます。

勝率30% リスクリワード70%:30%

これは、勝った場合は70pips取ることが可能、負けても30pipsとなるが、勝率は30%しかない。

打者大谷選手スタイルみたいなイメージですね。

次に、勝率70% リスクリワード30%:70%

これは、勝った場合は30pips取れるが、負けると70pipsと大きくなるが、勝率が70%ある。

イチロー選手のようなイメージですね。

これは、どちらを選んでもプラスマイナスゼロになるものですが、ここで大切なのは、自分の性格的にどちらのスタイルが向いているか?です。

スタイルを変えると成績が変わる1

以前、ご相談をいただいた方で、3年程経験があり、かなり知識も豊富で、調子がいい月はプラスになるが、負け始めると、どんどん資産が減っていくという状況でした。

実際のトレード履歴を見ながら、話を聞くと、「しっかりと損切り」をして、大きな負けがないようにしているのがうかがえました。しかし、非常に気になったのが、損切りをした後で、必ずといっていいほど再エントリーをしているのが目につきました。そこで、トレード履歴を一緒に調べてみると、この方は、「負けたまま終わることができない」性格だという事が見えてきました。社会的に成功している方は、相場の世界でも自分の判断が間違っているはずがないと思い込みやすい傾向にあります。

この方が、やっていたのは「大谷選手スタイル」で、損小利大で勝率の低いスタイルでした。そこでしたアドバイスは、「ホームランを目指すのはやめましょう。ヒットを積み重ねていくほうが向いています。」

目標とする利益を半分位に引き下げるようなやり方を相談しながら調整しました。そうすると、すぐに効果が現れました。何が一番変わったのかというと、トレードの回数が激減しました。小さくてもヒットを打てば、そこで、満足感を感じることができて、チャンスではない時の再エントリーが無くなりました。

成績を悪化させていた主たる要因であった「負けた後のチャンスではない時のエントリー」が無くなったという事例です。

スタイルを変えると成績が変わる2

今度は、自分の話になるのですが、自分のスタイルは、損小利大で勝率が低めとなっています。しかも多分かなり偏ったスタイルにしているかと思います。

方向性はもちろん順張りなのですが、エントリーの時点ではかなり逆張りをしています。落ちている最中に買いますし、上がっている最中に売るというスタイルです。ただ、このスタイルには性格によってはかなりの魅力があるスタイルなのです。

それは、含み損と含み益のポジションを保有している時間です。逆張りで損小をしているので、想定と違って負ける時は本当に一瞬で終わります。含み損で持っている時間は、長くても1時間程度です。逆に含み益で持っている時間は、数日から数週間となります。

自分の中では、勝率の悪さよりも、含み損を抱えているストレスがないことがとても性格にあっていることがわかり、今のスタイルに落ち着いています。

答えは、チャート上にはない

チャートでいろいろな手法を検討して、過去のチャートで検証したりするのを否定はしません。

しかし、成績を上げるための答えは、実はチャート上にはありません。

その答えは、あなたのトレード履歴の中にあります。といっても個別の反省ではありません。「この時にこうしていれば良かった」とか、「マイルールを守れなかった、しっかり守るようにしよう」という反省では意味がありません。

大事なのは、そこで何故「マイルールを守ることができなかったのか?」という感情の部分です。自分という性格と向き合わなければいけません。何度も何度もマイルールを守ろうと誓っても意味がありません。

問題なのは、「守ることができないルール」の方なのです。直すべきはこちらです。

一番最初に戻りますが、手法に優劣はあまりありません。それよりも大切なのは、自分という性格に合った手法なのかどうか?です。

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